声帯萎縮に対する再生治療
声帯の浅い部分にはヒアルロン酸を主体とする柔らかな細胞外マトリックスというものが存在し、声帯の張りや振動に重要な役割を担っています。
また、深い部分には硬い筋肉があり、この硬い部分を基部として柔らかい部分(浅い部分)が振動して声が作られます。
加齢とともに細胞外マトリックス・筋肉は減少し、声帯がやせて声が出にくくなってきます(声帯萎縮)。
硬い部分である筋肉は音声リハビリで回復できますが、柔らかい部分はリハビリ単独の効果はあまり期待できません。
コラーゲン注入はコラーゲン自体がヒアルロン酸よりも硬い成分であるため柔らかい部分の改善は期待できない、ヒアルロン酸注入は効果は高いもののすぐに吸収されてしまう、など長年治療が難しいとされてきました。
この声帯萎縮(特に浅い部分)に対する治療として、皮膚再生作用の働きを持つ薬(bFGF)が有効であることを、私が以前所属していた京都大学のグループで長年基礎的な動物実験から研究を重ねてきました。ヒトに対する安全性・有効性も治験で既に確認され、実際の治療として行えるようになりました。
方法としては、のどの局所麻酔で声帯に直接薬剤を注射します。日帰りで可能です。
声帯注射の効果を十分に活かし、より安定した声を目指すためには、注射後の発声方法の見直しも重要です。
声の状態に応じて、発声上の注意点や喉に負担をかけにくい声の使い方について説明します。
参考文献:
Ohno S, Hirano S, Yasumoto A, Ikeda H, Takebayashi S, Miura M. Outcome of regenerative therapy for age-related vocal fold atrophy with basic fibroblast growth factor. Laryngoscope. 2016 Aug;126(8):1844-8.
痙攣性発声障害に対するボトックス治療
痙攣性発声障害
痙攣性発声障害は、声を出す時に喉の筋肉が自分の意思とは関係なく不規則にけいれんしたり、過度に力が入ったりすることで、声が詰まる、途切れる、震える、出しにくいといった症状が出る病気です。
声帯そのものの形の異常ではなく、声を出す動きを調整する脳・神経の働きの異常が関係していると考えられており、「喉頭ジストニア」とも呼ばれます。
痙攣性発声障害にはいくつかのタイプがあります。
多くは、声を出す時に声帯が強く閉まりすぎることで声が詰まる内転型です。
一方で、声を出す時に声帯が開いてしまい、息が漏れるような声になったり、声が抜けたり途切れたりする外転型もあります。
症状の出方は人によって異なります。
「声が詰まる」「声が震える」「声が途切れる」「言葉の出だしだけ声が出しにくい」「特定の言葉で声が出にくい」など、日常会話の中で症状が目立つことがあります。
治療
痙攣性発声障害に対しては、ボトックス注射が広く行われています。
欧米では以前から標準的な治療として行われてきましたが、日本では長く保険診療で行うことができませんでした。2018年から日本でも保険適用となり、現在では保険診療で受けられる治療になっています。
のどに局所麻酔を行い、声帯を動かす筋肉にボトックスを注射します。
ボトックスにより、声を出す時に過度に力が入る筋肉の働きを一時的にゆるめ、声の詰まりや出しにくさの軽減を目指します。
薬の効果はおよそ3か月続きますが、効果の出方や症状が再び強くなる時期には個人差があります。
注射後の声の変化を確認しながら、必要に応じて投与量や再投与の時期を調整します。
また、声を出す時の力みや声の使い方によって、症状の出方が変わることがあります。
診察時には、声の状態に応じて、発声上の注意点や喉に負担をかけにくい声の使い方についても説明します。
手術治療を行っている施設もありますが、当院では痙攣性発声障害に対する手術治療は行っておりません。
当院では、ボトックス注射と発声上の注意点を中心に、症状や経過に応じて治療方針を相談していきます。

費用
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声帯萎縮に対する再生治療 |
約¥23,000 |
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痙攣性発声障害に対するボトックス治療 |
約¥15,000 |